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動悸

~動悸の原因として考えられる病気~

動悸の原因は多岐にわたりますが、大きく「心臓に原因があるもの」と「心臓以外に原因があるもの」に分けられます。ある調査では、動悸の原因は心臓由来が43%、精神的な要因が31%、その他が10%、原因不明が16%であったと報告されています。1)

1. 心臓に原因がある動悸

不整脈 :動悸の心原性の原因として最も多いのが不整脈です 。  

2. 心臓以外に原因がある動悸

~病気の説明~

    • 期外収縮: 最も一般的な不整脈の一つで、「脈が飛ぶ」「一瞬止まる」「ドクンと強く打つ」といった感覚を引き起こします 。これは、本来のタイミングより少し早く心臓が収縮する「おまけの拍動」です。健康な人にも見られ、多くは心配いりませんが、ストレス、睡眠不足、カフェインなどで増えることがあります 。  
    • 心房細動
    • 発作性上室性頻拍(ほっさせいじょうしつせいひんぱく): 「突然始まり、突然終わる」「規則正しい、非常に速い脈」が特徴です 。心臓の電気回路に「ショートカット」のようなものができてしまい、電気がそこを高速で旋回することで起こります。若い人にも比較的多く見られます 。  
    • 徐脈(じょみゃく): 脈が異常に遅くなる状態(房室ブロックなど)も、動悸として感じられることがあります 。一回一回の拍動の間隔が長くなるため、心臓が血液を溜め込む時間が長くなり、次の拍動が「ドクン」と力強く感じられるためです 。
    • 心理的な要因: ストレス、不安、パニック障害は動悸の非常に大きな原因です 。前述の通り、自律神経のバランスを乱し、心臓への感度を高めることで動悸を引き起こします 。  
    • 全身性の病気
      • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病): 甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、全身の代謝が活発になり、常に心臓が全力疾走しているような状態になります 。
      • 貧血: 血液中の酸素を運ぶヘモグロビンが不足すると、全身に十分な酸素を届けるために心臓が拍動の回数を増やして対応しようとします 。
      • 発熱: 感染症などで体温が上がると、代謝が亢進し心拍数が増加します 。
      • 脱水: 体内の水分が不足すると、血液量が減少し、それを補うために心臓が速く拍動します 。
      •  

~動悸とは? - 様々な「ドキドキ」の正体~

1. 動悸の定義と様々な感じ方

動悸とは、普段は意識することのない自分の心臓の拍動を、不快感を伴って自覚する状態を指します 。これは医学的な診断名ではなく、あくまで本人が感じる「自覚症状」です 。   その感じ方は人によって様々で、以下のような言葉で表現されます。

  • 強く、速く感じる: 「ドキドキする」「バクバクする」「心臓が飛び出しそう」  
  • 脈が乱れる、飛ぶ感じ: 「脈が飛ぶ」「一瞬、心臓が止まる感じ」「胸が詰まる感じ」「トクンと一回強く打つ」  
  • その他: 胸の奥の不快感や、首のあたりで脈を強く感じることもあります 。  

動悸という症状の背後には、心配のいらない生理的な反応から、治療が必要な病気まで、非常に幅広い原因が隠されています。

2. 心臓を動かす「電気」の仕組み(刺激伝導系)

心臓は、筋肉でできたポンプですが、その動きは微弱な電気信号によってコントロールされています。この仕組みを「刺激伝導系」と呼びます 。  
これを家に例えるなら、心臓全体が家で、刺激伝導系はその中を走る電気配線のようなものです(心房細動の動画)。

  • 洞結節(どうけっせつ): 心臓の右上部にある「メインの分電盤」です。ここが司令塔となり、規則正しい電気信号を発生させます。これが心臓の「自然なペースメーカー」です 。  
  • 刺激伝導路: 分電盤から出た電気信号は、心房から心室へと決められた「電気配線」を通って伝わります 。  
  • 心筋の収縮: 電気信号が伝わった部分の心筋が順番に収縮することで、心臓は効率よく血液を全身に送り出すことができます 。  

この電気信号の流れがスムーズで規則正しい限り、私たちは普段、心臓の動きを意識することはありません。動悸の多くは、この電気システムに何らかの乱れが生じることで発生します。

自律神経のバランスと動悸 - アクセルとブレーキの役割

心臓の電気システムを状況に応じて調整しているのが、「自律神経」です。自律神経は、私たちの意思とは関係なく体の機能をコントロールしており、車に例えると「アクセル」と「ブレーキ」の役割を果たしています 。  

  • 交感神経(アクセル): 運動や仕事、緊張、興奮、ストレスなど、体がいわゆる「戦闘モード」の時に活発になります。交感神経が優位になると、心拍数は上がり、心臓は力強く収縮します。これは体を活発に動かすために必要な正常な反応です 。  
  • 副交感神経(ブレーキ): リラックスしている時や睡眠中に活発になります。副交感神経が優位になると、心拍数はゆっくりになり、心臓は落ち着きます 。  

健康な状態では、このアクセルとブレーキが状況に応じてうまくバランスを取っています。しかし、過度なストレス、睡眠不足、カフェインの過剰摂取などがあると、アクセルである交感神経が過剰に働いたり、バランスが崩れたりします 。その結果、心臓が必要以上に速く、あるいは強く拍動し、それを「動悸」として感じることがあるのです。  

動悸を「感じる」脳の仕組み - 心臓自己覚知

同じ心臓の動きでも、それを強く「動悸」として感じる人と、全く気にならない人がいます 。この違いには、脳の「心臓自己覚知」という機能が深く関わっています 。  
私たちの脳は、心臓から送られてくる拍動の信号を常に受け取っていますが、普段はそのほとんどを意識に上らせないようにフィルターをかけています 。しかし、不安やストレスが強い状態では、この脳のフィルター機能が弱まり、心臓からの信号に対する「感度」が上がってしまいます 。  
つまり、不安な時には、脳が心臓の音量を上げるような状態になるのです。そのため、普段なら気にも留めないような些細な脈の乱れ(期外収縮など)も、一つひとつはっきりと不快な「動悸」として感じてしまうのです 。これは、動悸が気のせいではなく、脳と心臓の連携によって生じる、れっきとした生理的な感覚であることを示しています。  

1)Weber BE et al. Am J med. 1996 Feb;100(2):138-48.

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