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心房細動

心房細動とは?

心房細動は、不整脈(心臓の脈のリズムが乱れる状態)の中で最も一般的なものです 。私たちの心臓には4つの部屋があり、上の2つを「心房」、下の2つを「心室」と呼びます。正常な状態では、心房にある洞房結節という場所から出た電気信号が、規則正しく心室へ伝わり、心房、心室の順に収縮します。しかし、心房細動になると、心房の中で異常な電気信号が無秩序に発生するため、心房が小刻みに震えるような状態になります。それに伴い心室の動きも不規則になり、血液を効率よく全身へ送り出すことができなくなります。

心臓の構造 - 一般向け解説

心臓のリズム比較

正常なリズムと心房細動の違い

正常な心臓のリズム(洞調律)

洞房結節 房室結節 ヒス束 ① 心房収縮 ② 心室収縮

心房細動の状態

洞房結節(非活動) 血栓 脳卒中リスク 心房細動 不規則収縮

日本における心房細動の現状

心房細動は、年齢とともに患者さんの数が増えることが知られています 。2003年に行われた日本の調査では、70歳代の男性の3.44%、女性の1.52%が心房細動であり、80歳以上では男性の4.43%、女性の2.19%に心房細動が見られました 。

日本の高齢化が進むにつれて、心房細動の患者さんはさらに増えると予測されています。2050年には、日本の心房細動患者数は約103万人に達し、総人口の約1.1%を占めるという統計もあります 。

心房細動のサインと放置するリスク

主な症状

心房細動の症状は人によって様々です。主な症状には以下のようなものがあります 。  

  • 動悸(ドキドキする、脈が飛ぶ感じ)
  • 息切れ(特に体を動かしたとき)
  • 胸の不快感、胸の痛み
  • めまい、ふらつき
  • 疲れやすさ、だるさ
  • (まれに)失神

しかし、心房細動の患者さんのなかには、はっきりとした症状を感じない方(無症候性心房細動)も少なくありません 。症状がないからといって、治療の必要がないわけではありません。  

放置するとどうなる?合併症について

心房細動を治療せずに放置すると、いくつかの重大な合併症を引き起こす可能性があります。

  • 脳梗塞:心房細動の最も怖い合併症の一つです。心房細動があると、脳梗塞になる危険性が高くなります 。心房が小刻みに震えることで心房内に血の塊(血栓)ができやすくなり、その血栓が血流に乗って脳の血管に詰まると脳梗塞を引き起こします。脳梗塞の発症率は、年齢や、他にどのような病気があるかで変わります。図1、2にリスクを算出するためのスコアとその説明、図3にスコア別の年間の脳梗塞発症率を載せています。
  • 心不全:心房細動によって心臓のポンプ機能が低下し、全身に必要な血液を十分に送り出せなくなる状態です。心房細動が長く続くと心臓が疲れ果ててしまい、心不全を発症したり、もともとあった心不全を悪化させたりすることがあります 。心房細動と心不全は互いに悪影響を及ぼしあう関係にあります。  
  • QOL(生活の質)の低下:動悸や息切れなどの症状は、日常生活や仕事、趣味などを楽しむことを妨げ、生活の質を大きく低下させることがあります 。  
  • 認知機能の低下:最近の研究では、心房細動が認知機能の低下や認知症のリスクを高める可能性が指摘されています。これは、たとえ脳梗塞を予防するための抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を飲んでいても起こりうるとされています 。  

これらの合併症は、生活に大きな影響を与えるため、心房細動と診断されたら、医師とよく相談し、適切な治療を受けることが大切です。

図1 脳梗塞のリスクスコア

「-」は、当該スコアの評価項目に含まれないことを示します。

スコアは、該当項目の合計点数になります。例えば83歳で高血圧のある方は、CHADS2スコアでは2点、CHA2DS2-VAScスコアでは3点、HELT-E2S2スコアでは2点になります。

図2 各スコアの特徴

図3 リスクスコア別・脳梗塞年間発生率

出典: Yamauchi T, et al. Circulation Journal. 2023. このグラフは論文のデータを基に作成したものです。

心房細動の治療:あなたに合った選択肢は?

心房細動の治療は、患者さん一人ひとりの状態や希望に合わせて、医師と相談しながら進めていくことが基本です。

治療の基本方針

心房細動の治療は、単に不整脈を抑えるだけでなく、生活習慣の改善や関連する病気の管理も含めた総合的なアプローチが取られます。

  • 生活習慣の改善 :  
    • アルコール:過度の飲酒は心房細動の誘因となり、出血リスクも高めます。節酒または禁酒が勧められます。
    • 身体活動:適度な運動は、心房細動の発生や再発を予防するため推奨されます。
  • 危険因子の管理 :高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、肥満などをしっかり治療することが、心房細動の管理にも繋がります。  

薬物療法

心房細動の薬物療法には、主に3つの目的があります。

  • 脳梗塞を予防する薬(抗凝固薬 こうぎょうこやく): 心房細動で最も重要な治療の一つが、脳梗塞を予防するための抗凝固療法です。心房細動があると心房内に血の塊(血栓)ができやすくなり、これが脳に飛んで脳梗塞を引き起こすことがあります。   
  • 脈拍を整える薬: 心房細動の際に心拍数が速くなりすぎると、動悸や息切れの原因になったり、心臓に負担がかかったりします。脈拍を整える薬は、心房細動そのものを止めるわけではありませんが、心拍数を適切な範囲に抑えることで症状を和らげ、心臓の負担を軽くします。 
  • 不整脈を止める薬: 心房細動を止めて、正常な電気の流れに戻し、それを維持するための薬です。抗不整脈薬と呼ばれる種類の薬が使われます。どの薬を選ぶかは、心臓の他の病気の有無などによって異なります 。 最近では、心房細動と診断されてから早い段階(1年以内など)でリズムコントロール治療(薬物療法やカテーテルアブレーション)を行うことが、長期的な経過を良くする可能性があるという報告もあります 。  

非薬物療法

薬物療法だけでは効果が不十分な場合や、薬の副作用が心配な場合、あるいはより積極的な治療を希望される場合には、カテーテルアブレーションが検討されます。

心房細動の持続期間、症状、心不全の合併、年齢など様々な要素を考慮して、アブレーション手術をするべきかを検討します。

心房細動について様々な情報をお伝えしてきましたが、最も大切なのは、ご自身の状態を医師とよく話し合い、一緒に治療方針を決めていくことです。

心房細動の治療法は一つではありません。患者さんの年齢、症状の程度、心房細動のタイプ、他に持っている病気、生活スタイル、そして何よりも患者さん自身の希望や価値観によって、最適な治療法は異なります。

不安なこと、疑問に思うこと、治療に対する希望など、どんなことでも遠慮なく伝えてください。

 

出展:「2024 年 JCS/JHRS ガイドラインフォーカスアップデート版不整脈治療」等を参考に作成。

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