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慢性腎臓病

腎臓ってどんな働きをしているの?

私たちの体には「腎臓」という、そらまめのような形をした握りこぶし大の臓器が腰のあたりに2つあります。腎臓は、私たちが健康に生きていくために、24時間休むことなく働き続けている大切な臓器です。
主な働きは以下の3つです。

  1. 体のフィルター役:血液をろ過し、体の中のいらなくなった老廃物や余分な塩分・水分を尿として体の外に出します。
  2. バランス調整役:体の中の水分量や、ミネラル(ナトリウム、カリウムなど)のバランスをちょうど良い状態に保ちます。
  3. ホルモンを作る工場役
    ・血圧を調整するホルモンを作ります。
    ・血液を作るのを助けるホルモン(貧血を防ぐ)を作ります。
    ・骨を丈夫にするビタミンDを活性化させます。

このように、腎臓は尿を作るだけでなく、体の調子を整えるために多くの重要な役割を担っています。

CKDの基本的な定義

慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)とは、何らかの原因によって腎臓の働き(腎機能)がゆっくりと悪くなっていき、その状態が3ヶ月以上続いていることを指します 。  具体的には、以下の1または2のいずれか、あるいは両方が3ヶ月以上続いている場合にCKDと診断されます 。  

  1. 腎臓の障害を示す所見があること
    ・尿検査で異常が見つかる(例:たんぱく尿、アルブミン尿、血尿など)。  
    ・画像検査(超音波検査やCT検査など)で腎臓の形に異常が見られる。
    ・血液検査で腎機能の低下を示す値が見られる。
    ・腎生検(腎臓の組織を一部採取して調べる検査)で異常が見つかる。
  2. 腎臓の働き(腎機能)が一定のレベル以下に低下していること
    ・血液検査で調べる「eGFR(推算糸球体ろ過量)」という値が、60 mL/分/1.73m2 未満の状態。eGFRは、腎臓が1分間にどれくらいの血液をろ過してきれいにできるかを示す指標で、腎臓の働きの「ものさし」のようなものです。この数値が低いほど、腎臓の働きが悪くなっていることを意味します 。  

日本のCKDの現状:どのくらいの人がCKDにかかっているの?

日本腎臓学会によると、日本の成人のおよそ5人に1人がCKDである可能性を示しており、決して他人事ではない、非常に身近な病気と言えます 。  

なぜCKDになるの? 主な原因は?

CKDの主な原因は、私たちの生活習慣と深く関わっています。

  • 糖尿病(糖尿病性腎症): 高血糖の状態が続くと、腎臓の細い血管が傷つき、フィルター機能が損なわれます。
  • 高血圧(腎硬化症): 高い血圧が長く続くと、腎臓の血管に負担がかかり、硬くなって機能が低下します。
  • 慢性糸球体腎炎: 腎臓のフィルター部分である糸球体に炎症が起こる病気です。
  • 加齢: 年齢とともに腎機能は自然と低下する傾向があります。
  • その他:多発性のう胞腎などの遺伝性の病気、薬剤の影響、喫煙なども原因となります。

CKDになるとどうなるの?:症状と進行のしかた

CKD(慢性腎臓病)の重症度分類と
将来の末期腎不全リスク・検査頻度(採血、尿検査)目安

CKD(慢性腎臓病)の重症度は、腎臓の働きを示す「GFR区分(G1G5」と、尿へのたんぱく質の漏れ具合を示す「蛋白尿/アルブミン尿区分(A1A3」で評価されます。下の表でご自身の値が交差する箇所が現在の重症度と、推奨される定期検査の時期の目安を示します。

CKDの最も注意すべき点の一つは、病気がかなり進行するまでほとんど自覚症状がないことです 。腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、多少機能が低下しても、残った部分が懸命に働くため、なかなかSOSのサインを出してくれません。  

そのため、多くの場合、症状がないまま何年も経過し、健康診断や他の病気で医療機関を受診した際の尿検査や血液検査で異常を指摘されて、初めてCKDの可能性に気づくというケースが多くあります。

この「無症状」の期間が長いことが、CKDの発見を遅らせ、気づいた時にはすでに病気が進行してしまっているという事態を招く最大の要因です。発見が遅れれば遅れるほど、腎機能の低下を食い止めるのが難しくなり、治療の選択肢が限られたり、透析導入の時期が早まったりするリスクが高まります。ですから、症状がないからといって安心するのではなく、定期的な健康診断(特に尿検査と、血液検査によるeGFRの測定)をきちんと受けることが、CKDを早期に発見し、腎臓を守るための最も確実で重要な方法なのです。
CKDが進行すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • むくみ:顔や手足がむくむ。
  • 尿の異常:トイレが近い、夜中に何度も起きる、尿の色がおかしい、泡立つなど。
  • 貧血の症状:疲れやすい、だるい、めまい、息切れなど。
  • 高血圧
  • 食欲不振、吐き気
  • 皮膚のかゆみ
  • 筋肉のけいれん
  • 息苦しさ

これらの症状に気づいたら、早めに主治医に相談しましょう。

なぜCKDの早期発見と治療が大切なの?

CKDで一度悪くなった腎機能を完全に元に戻すことは難しいですが、早く見つけて適切な治療を始めることで、腎機能の低下スピードを遅らせることができます。
これにより、将来的に透析療法や腎移植が必要になる時期を遅らせたり、避けたりできる可能性があります。これは、皆さんの生活の質を長く保つために非常に重要です。

CKDの治療法について

CKDの治療は、一つの特効薬があるわけではなく、多角的なアプローチで行われます。主な目的は、腎機能の低下速度をできるだけ緩やかにすること、心血管疾患などの合併症を予防すること、そして患者さんのより良い生活の質を維持することです。
治療の基本となるのは、以下の3つの柱です。

  • 原因となっている病気の治療:糖尿病や高血圧、慢性腎炎など、CKDを引き起こしている元の病気があれば、その治療をしっかりと行うことが最も重要です。
  • 腎臓への負担を減らすための生活習慣の改善:食事療法や運動療法、禁煙などが含まれます。
    食事療法は、CKDの進行を抑え、合併症を予防するために非常に重要な治療法です。ただし、自己判断で行うと、かえって栄養バランスを崩したり、体調を悪化させたりする可能性もあります。必ず医師や管理栄養士の指導のもと、ご自身の状態に合った方法で行いましょう。
  • 必要に応じた薬物療法:血圧を下げる薬、尿たんぱくを減らす薬、貧血を改善する薬など、状態に合わせて様々なお薬が使われます。使用されるお薬の種類や量は、患者さん一人ひとりのCKDのステージ、原因となっている病気、年齢、他に飲んでいるお薬、そして体の状態などによって細かく調整されます。必ず医師の指示通りに正しく服用し、自己判断で量を変えたり中断したりしないようにしましょう。

CKDは、その名の通り「慢性」の病気であり、長いお付き合いになることがほとんどです。そのため、主治医の指示に従って定期的に医療機関を受診し、必要な検査(血液検査、尿検査、血圧測定など)を受けることが、ご自身の腎臓の状態を正確に把握し、その時々の状態に合わせた適切な治療を継続していくために、何よりも大切です 。   検査の結果を見て、一時的に数値が良くなったり悪くなったりすることもあるかもしれませんが、一喜一憂しすぎることなく、長期的な視点を持って、治療に取り組んでいきましょう。

当クリニックでは、CKDの患者さんが安心して治療を受け、より良い生活を送れるよう、サポートしてまいります。どんなことでもお気軽にご相談ください。

出典:CKD診療ガイド2024(日本腎臓学会編)等を参考に作成

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